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「ミセス・XXザキと娘・・・

2015-05-17 ハリー古山  


 

トロントでの2度目の下宿先は「ミセス・XXザキ」宅だった。数年前に旦那が亡くなって淋しかったらしく、空いている幾つかの部屋を日本人の若者に貸していた。 
あの当時・・すでに70歳半ばだったと記憶しているが、とにかく元気で口の達者な女性だったのを覚えている。

3階の一番上の屋根裏部屋が私の住居であったが、そこまで聞こえる大声でミセス・XXザキが1階のキッチンから私を呼ぶ・・・「コヤマ〜!カムダウン!」 
「へい、へい・・代官様、ただいま行きやんす〜!」と、急いで3階から階段を駆け下り、キッチンへと直行する日々。 
椅子に座るとすぐコーヒーを出してくれ、テーブルの真ん中に置いてある果物カゴの中から好きなのを食べろ・・と言う。 
その日はうまそうなバナナが目にとまったので1本いただいて食べていると、急に人の顔を覗き込んで「ふっ・ふっ・ふっ〜共食いだぞ〜!」などと、ハレンチな事を言って笑うのが大好きなオバサン。 
ほんと・・・下ネタ話ばかり言い放題、パワ―全開の元気な代官様なので参りましたね。
だってその時、私はただの初心な青年!・・誰でも一度はそんな時がありましたから〜

100ワットの電球を・・「ハンドル・ワットのバルブ・・・」と言うし、教会は・・「チョーチ」とか独特の英語で発音するので最初は何を言っているのか全然わかりません。
ちょうどそれは「掘った芋・いじんな?」(What Time is it Now ?)の世界です。
日本から来た最初の移民者たちには英語学校などに行く時間はなかったらしく、地元民の話す英語を自分の耳で聞いて覚えたユニークな日本人英語と言って良いでしょう。
要するに・・・会話が通じれば、それでいいんですから。

そんな下宿先で、ある冬の夜・・・部屋の窓から夜空を眺めていた。
小道を隔てた向かい側の家の屋根には雪が積もっていて、夜空とは対照的に明るい。
外は静まり返っていた真夜中・・星が美しく瞬いていたのを覚えている。 
私は長い間・・椅子に座ってじっと空を見つめながら、ある問いかけをしていた。
そんな時、突然向かい側の家の屋根の上に青白い強烈な発光体が現れたのです。
ちょうど3秒くらいでしたが、夜空の星々の中では驚くほどの大きな輝きだった。
それも私の部屋の小窓に向かって一直線に光が入って来たのですからビックリするのは無理ありません。

この瞬間、私の意志は固まり・・急いでアメリカUFO教育センターのシャーロットに手紙を出したのを覚えています。
「宇宙の友人たち」(1977年)で詳細にお伝えしたアメリカでのUFO活動は、そこからスタートした・・と言っても良いでしょう。

  
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そんな下宿先の代官様の娘が日本旅行から帰ってきた・・・
彼女は私より10歳以上も年上の女性で、英語と日本語を完璧に話すカナダ生まれの日系二世。トロント大学を出て某テレビ局に勤める才女であった・・・が、彼女が初めて訪れた日本では思いがけないハプニングが待っていたようだ。
今回はその笑い話です・・・

ミーは、日本で笑われてしまったよ。ミーは日本語にも自信があったので何も心配していなかったんだけど・・東京で喫茶店に入った時、オレンジジュースが飲みたかったので注文しようと思ったの。
それで、日本語で「すみません、みかん水を1杯ください!」・・って店員さんに言ったのよ。 
そうしたら、このウエイトレスさんはミーの言った事が通じなかったみたいで「えっ?・・何ですか?」って顔されたのよ。
しょうがないから他のお客さんが飲んでいたオレンジジュースを指さして・・「あれを下さい!」って言ったら、「お客様・・オレンジジュースですね?」って言われたのよ。
「えっ!・・どうしてなの?・・・ちゃんと日本語に訳して言ったのに、おかしいでしょう〜?」

それとね、もう1つあるのよ・・ちがうお店でね・・コーヒーを頼んだ時にミルクが付いてなかったのよ。 
それで「すみません、コーヒーの牛乳ください・・」って言ったら、また「えっ!」って顔されて「ミルクですか?」って反対に聞かれたの。 
知らなかったよ〜・・ミルクがそのままで通じるなんて〜。
穴があったら入りたかったくらい恥ずかしかったわよ。

最初からミルク・・って言えば良かった〜・・・ミーのこと、そうとう田舎者に思われたんじゃない?・・・ほんと、日本じゃ恥かいちゃったわよ!

と、大笑いしながら語ってくれたカナダの日系二世さん・・・。 
私の体験ですが、二世さんは真面目で親切で頑張り屋・・そして人の良い穏やかな性格の人が多くて楽しかったです。これは今から40年以上前の話なんですが、思い出すと笑がこみ上げてきます。
ミセス・XXザキの娘さん・・・やってくれますね!
う〜ん・・日本語は、あまり丁寧に訳さない方が・・・良かったようです。

(*注・・・なぜか、二世さんたちは自分の事を「ミー」と言う人が多かった。)


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