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「カナダの友人・・Hさん」    その1

2015-07-26 ハリー古山  


 

昔・・私にはとても愉快な(笑える)1人の友人がいました。 
彼の名前は「Hさん」と言います。

羽田を飛び立った飛行機が、カナダの西海岸バンクーバーに着いたのは1970年の4月下旬。 そこからカナダ大陸横断鉄道の列車に乗り、東に向かってロッキー山脈を越え・・そして北の草原地帯を横切る3日間の旅。(詳細は「宇宙の友人たち」1977年、たま出版) 

初めての長旅列車に疲れてしまい、やっと着いた東側の大都会「トロント」の日系新聞社にぶらっと出かけて下宿先を探していると偶然このHさんという人物に出会ったのでした。

仙人ぶった人や、救世主もどきの演技をする人はこの世界に数え切れないほどいますが・・私、この世界で完璧な人間などにはまだ1度も出会ったことがないですし、これからも会うことはないだろう・・と強く確信していますが?
 
人間って、誰でも長所と短所がある「欠陥だらけの面白い生き物」・・ですよね〜。
(それで良いではないですか・・・)
でも皆その人だけのユニークな特徴を持っていることは確かですから、短所とか欠点とかは個性の一部だと考えれば別に目くじらを立てて怒ったり批判したりする必要もないかな・・・とか思います。

まあ変な言い方ですけど・・出来上がった人間はあまり美味しくないですから・・・
不完全さが人間として良い味を出してくれるのかもしれません。

これは地球だけに限られたことではないようです。
私の知っている宇宙人だって同じことですから・・・
どこに住んでいようとも、目標の自分に向かって常に前進する気持ちを忘れないようにしましょうね。 ・・後はご自由に、好きに生きてください。
人間は精神的に進化するほど、自分の中にある豊かな個性が表に現れて驚くほど自由で明るい性格の人間になれるようで、それが当たり前・・・(だの、クラッカー!)

私が最初に住んだ異国の地カナダのトロントという街で出会い、いろいろお世話になった数歳年上の友人は、まさしく「放浪の地球人」と言うにふさわしかった。
ちょっ と変わったホラフキ地球人のところもあったが、決して悪い人間ではない憎めない性格をしていたのでカナダにいた間はずっと友達だった。 彼を知っている友 人からは「こんな悪いウワサばかりの奴とは付き合わない方が君のためだよ・・」と、何度も忠告されてはいたけれど、私は彼をそうは思わなかったんです。 
とにかく、彼はいろんな面で世間をにぎわしてくれた愉快で心優しい人物だった。 
だから今でもその時代のHさんを思い出します。




その@ 「メガネが良く見えない!・・事件」

Hさんが英語学校から帰ってきた。 あれれっ・・メガネをかけている!
黒ぶちのメガネだが、どうしてだろう? 
理由を聞くと、Hさんは照れくさそうに・・「実は、学校でさ・・黒板の字がハッキリ読めないんだよ。そしたら美人の先生がメガネをかけた方が良いんじゃない?・・って薦めるんで、さっそく買ってきたんだよ」 「どう・・似合う?」 

ああ・・少し顔がしまって頭良さそうに見える・・・
安物メガネにも見えるけど、お世辞で「カッコいいよー!」って言ってみた。

数日して、メガネの調子を聞くと・・
「それが・・まだ目に慣れてないみたいでさ。近くは良く見えるんだけど、遠くがさっぱり・・」 

「えっ・・それはまずいでしょ。 それで・・黒板の字とかはハッキリ見えてる?」 

「いや〜・・どうしてかわかんないけど、前よりちょっと悪いみたい」
「だから一番前の席に座るようしてるんだけど、それでもボーっとして良く見えないんだよね」

Hさんは私の前でメガネをかけたりとったりしながら「かけない方が良く見えるような気もするんだけど、どうしてかな?・・」と言った。

それで、私はついにそのメガネを見せてもらうことにした。

次の瞬間・・・私は噴出してしまった。
「えーっ!! なにこれ??・・ウソでしょう!」(私だってこのメガネをかけたら、もっと見えなくなる。Hさんは、いったいどこのメガネ屋に行ったのだろう?) 

「Hさん・・これ、どこの店で作ってもらったの?」
「えっと〜?・・ダウンタウンにある・・何とかという店だけど、実はさ・・店に置いてあったやつを買ったんだよ」・・・と白状した。

やっぱり彼はメガネ屋には行かないで、普通のドラッグストアで適当に買ってしまったのである。(日本のメガネ屋さんとはちがって、アメリカやカナダではメガネ屋さんでも店内で目の検査はしてくれない。だからメガネを作るには眼科医の処方箋が必要である。)

大笑いしていると、彼も照れ笑いしながら「今まで我慢してかけてたんだけど、本当はかけない方が良く見えるんだよね・・安物だったからかな?・・困っちゃうよ」

実に、のんきな人だ!・・・

そこで私は言った・・・
「Hさん、このメガネね・・かけたらだめだよ」
「だって、老眼鏡だもの!!」
「Hさんが必要なのは近視用メガネ!」

「えっ!・・そうなの? 面倒くさかったし、英語ではうまく説明できないから・・・」
「でもこれさ、たった5ドルで安かったから・・・は、は、は〜」
(そういう問題ではありませんよ・・Hさん)

美人の英語教師にはめっぽう弱いHさんだった・・・
街のドラッグストアで見つけた老眼鏡を何も考えずに買ってしまうとは・・・



 (宮古島の海で会った「カエル魚」)


でもその後、彼は大金をはたいて黒ぶちの立派な近視用メガネを買ったのを私は知っている。 「メデタシ・めでたし・・・!」


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