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「カナダの友人・・Hさん」    その3

2015-09-15 ハリー古山  


 

そのB    「ラブレター事件」

おっ?・・・Hさんが悩んでいる!
(悩みなんか、あるはずないのに・・・) 

どうしたんだろう?・・・と思って聞くと、
「僕さ・・クリーニング屋の娘に恋したみたいなんだよ・・・」とか言うので、私の耳を疑ってしまった。

下宿先の近所に、日系人のクリーニング店があり・・その店にはとても美人の姉妹がいた。 

特に次女の方はまだ高校生だったが、大人の魅力が漂うスタイルの良い超美人だったので彼女の父親は常日頃から彼女を狙う男には目を光らせていた。

それなのに・・よりにもよって、その次女の方をHさんが好きになってしまったようである。 「な・ぜ〜・・・?」 
(本当にやばい! や・やめた方が・・・よろしいかと?)


なのに・・・
Hさんは事もあろうに、ラブレター作戦に出ようとしていた。 

「実はさ・・彼女も僕を好きみたいなんだよ。 いつも、僕を見てニコニコする顔でわかるんだよね! だから彼女に手紙を書こうと思ってさ・・・」
(最初のは、「う・そ〜?」半信半疑?・・二番目は、「ちょっと思い込み過ぎ?」・・そんな気もするんですが)

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別に、見せてくれなんて言ってないのに・・彼が書いたラブレターを
「どう・・これ!」と自信たっぷりの顔で渡されたのだが・・・

「・・・・?」 「・・・・」 「・・・・」  無言の私。

「彼女、読めるかな〜日本語?」
(日本語??・・これ、日本語ですか・・Hさん?)

Hさんには悪いけど、こんなにひどいミミズがはったような日本語文字は見たことがない。 
(字が汚すぎる!・・絶対に読めません!・・彼女には無理です!)

それに・・文章も小学生並みだし、この手紙は絶対にまずいでしょ〜?

Hさんには悪いけど、正直に私の感想を伝えると・・・ついに出た〜!

「コヤマくん・・代わりに書いてくれる?・・たのむよ!」・・・だって。

「冗談じゃないよ、そんな事!」・・・と言いながらも、
こんな事は初めてだし「う〜ん・・それなら」と軽く引き受けて、代わりにラブレターを書くことにした。

何を伝えたいのかをHさんから聞いて、私はさっそく彼のゴースト・ライターになる。

「・・あなたの美しい笑顔が忘れられません・・・」(うふ・うふ・・いいぞ、この調子だ〜)

いつも何かと世話になっているHさんだから・・「こんな時にこそ、協力してあげなくては!」と、なぜか張り切る私・・・ 

それに・・私事ではないし、全くの他人事ですから・・深く考えずに軽い気持ちで思う存分好きな事を書けばいい。 (超・無責任な人間のすることですけど・・・)

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次の日、私が一晩かけて書き上げた手紙をHさんはとても気に入ってくれたようで、
「よし・・これでもう大丈夫だ!」とか、すでに勝利を確信していた彼。

早速・・洗濯物を持って来ただけのフリをして、店に出ていた彼女に素早くラブレターを手渡したまでは良かったのだが、オヤジはそのやり取りを見逃してはいなかったようである・・・

その後なぜか音沙がないので、もの凄く気になったHさん・・・ついに私がクリーニング店へ偵察に行かされた。

あのラブレター作戦で、意中の女性が彼にどんな好感を抱いたか!・・・を、Hさんはとても知りたがっていたのである。(うふっ・・けっこう自信家!) 

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実は・・私、このクリーニング屋のオヤジには、トロントに来てからずっとお世話になっていた。
私もHさんと同じようにドライクリーニングが必要な洗濯物をこの店に出しに行っていたのだが、受け取りに行ってもクリーニング代を絶対に受け取ってくれないのだ。

「金なんか気にしなくて良い!・・君がちゃんと仕事についてお金が稼げるようになってからで良いから心配するな!」とか言って、頑固にタダにしてくれる人の良い堅物オヤジだったのである。
(トロントに着いて1か月も経たない私には仕事などなく、まだ働いていなかった・・・)

それで、このオヤジの家に庭仕事を手伝いに行った事があって・・家族からランチにとても美味いハンバーガーを食べさせてもらった記憶がある。
この時、生まれて初めて「えっ! ハンバーガーって・・こんなに美味いのか!」と感激したのを今でも覚えている。
(あの頃の私は、肉類が嫌いでハンバーガーなど食べられなかった・・のですが)

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ところが、この日のオヤジはちがっていた。
次女の娘がいたので私の洗濯物を渡していると、急に店の奥から出てきた・・・

「Hの奴め!・・わしの娘にこんなラブレターなど書いて・・いったいアイツは何を考えてんだ、バカもんが! わしの娘を・・誰がアイツなんかと付き合わせるか!」と、例のラブレターを私にちらつかせながら・・オヤジはとても怒っていた。 

「Hには、もう店に来るな!・・・と伝えておいてくれ!」
(ひえっ!!〜・・・)

「じ・実は、その手紙を書いたのは・・僕なんです! すべて僕が悪いんです!」

・・と言いたかったけど、オヤジに八つ裂きにされそうだったので・・とても真相なんて言えません。

こんな時は「えっ〜そうなんですか・・すいません!・・ちっとも知りませんでした・・・」って顔をするしかない。 (でも本当はゴメンなさ〜い)




家で、私の帰りを心待ちしていたHさんだった・・・が、吉報は届けられず!!

残念ながら・・彼の想いは通じず、あえなく「撃沈!」

この世の中・・何事もシナリオ通りに上手く行きませんから・・・南無〜!
(もう、あきらめましょう・・Hさん)

こんな事があって、私もこの日を境にオヤジのクリーニング店には行きずらくなってしまいました。


やっぱり、鬼オヤジの美人娘は「高嶺の花」だった〜!!


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