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「原始村の思い出」
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美味しい水を作る機械の世話をしてくれているとっても親切で気さくなF氏が、時々我が家にやってきていた。彼の車には、いつものお土産がどっさりと積んであった。F氏の畑で取れた大根やごぼう、らっきょう、即席の漬物など、どれも新鮮で美味しかった。 原始村のベースキャンプは、長崎県松浦郡世知原町からそんなに遠くない山の中に切り開かれた開墾地のようなところにある。水は、井戸水、食料は、鶏を放してそれを子供達が捕まえてから、その場で係りのものが解体をしてから調理するというもので、スーパーに並んでいる鶏肉しか知らない町の子供達にとっては、衝撃的な出来事なのだった。しかし、お腹の減った子供達にとっては、これしか食べるものがないのだ。仕方なく口に入れた鶏肉の味は、それまでの鶏が可哀想だとか、残酷だとかの想いをぶっ飛ばしてしまうほど美味しかったそうだ。 先ず最初に、「これがUFOだ」というタイトルのビデオをプロジェクターで上映する。本当は、原始村には電気もなく当然TVもないというのがお約束なのだが、このときは違った。子供達は食い入るようにスクリーンに展開されるUFOの飛行の様子や、壁画に描かれた宇宙人らしき人物や飛翔体の説明を見つめていた。 |