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 ある時、ラジオを聴いていた友人が、ファジー理論で有名なY教授が話しているのを聞いたとかで電話をかけてくれたことがあった。その時、どうしてそのような話題に至ったのかは、失念してしまったが、Y教授は、ラジオのインタビューに答えて次のように言っていたという。
 「科学が発達したといっても、トンネル内で落盤事故に会った時に、中に取り残された人と交信する技術を私たちはまだ持っていない。テレパシーが解明されれば、解決されるかもしれないけども・・・・」
 Y教授の真意は解らないが、少なくも、このような真の科学的態度こそ失われなければ、未来は明るいと思えてくる。
 現在、科学技術庁も気功の研究に着手していると聞いているが、遠隔地からの被験者へ与える「気」の影響とかで、脳波などを計測してその可能性に挑戦しているということである。しかし、この実験に協力している気功師(高塚光氏、気功師というよりは超能力で病気を治している人で有名。著名人や政治家も彼の患者だと聞いている。)は、ある雑誌の中で科学技術庁の本音を漏らしていた。それは、本当は、超能力の研究をしたいのだが、世間体が悪いので、聞こえの良い気功の研究ということにしているというのである。
 ずいぶん前になるが、職場の先輩と雑誌「ムー」のミステリー大賞へ論文を投稿しようということでスプーン曲げの実験をしたことがあった。簡単に実験装置を紹介すると、どこにでもある一本のスプーンを用意して、そのスプーンにひずみゲージを貼り付けて、ゲージからの出力を増幅させて計測できるようにしたものであった。はたして、その実験結果は如何なるものだったのだろうか?
 私たちが、スプーンが曲がるように念じた時、測定装置は、その力の痕跡を確かに計測したのであった。
その値とは、実際のひずみゲージの単位ではないが、わかりやすい表現をするとそのひずみを電圧としてみると、数マイクロボルトの微小な変化であった。もちろん、非接触である。このことは、目で確認できるほどの曲がり現象ではないかもしれないが、人間の思いが、スプーンにわずかではあるが曲がり応力を発生させていたということを 示唆するには充分な実験だったのではないかと思っている。
 私たちの想念は、確かに、周りの環境に影響を及ぼしているということなのだ。

 ノーベル賞学者の江崎博士は、彼の研究のトンネル効果を発見した経緯として、学生実験のトランジスタの特性実験の結果が、理論とは違う誤差を毎回出していることに疑問を持ち偉大な発見に至ったというようなことを、ある大学教授から聞かされたことがある。その教授が、言いたかったのは、すでに既成の事実と思われているような中にも、実は、見過していることがあるかもしれないという科学的視点(オープンマインド)で物事を捉えるようにということであったと思っている。
 決めつけない態度、自分の価値観だけで計らない態度、新しい発見を見過ごさない態度、現象の背後にある何かを探求しようという態度、そして素直でピュアーな心。この人類の遺産とも言える科学的な心構えを忘れない限り、私たちは希望をもって新しいミレニアムを歩き続けることが出来るだろう。

 この原稿は、K大学のS工学教室が、在校生と卒業生へ向けて毎年一回発行しているコントロール誌(1999年版)へ「Next Millennium」というタイトルで投稿したものです。今回のコラム用に、一部修正、加筆しています。

2003年6月26日記 

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